+-++-++ お針子ルールー ++-++-+
   

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 チクチクチク。
 赤い毛糸のチョッキを着た、ひとりの少年が針仕事をしていました。
 もう何日もずっと、休むことなく銀のサーベルにも似た小さな針を純白のサテンに突き刺しては、白い絹糸を通しています。

 少年の名前はルールー。銀色の巻き毛の美しいお針子さんです。

 ルールーが休まずに縫っているのは、ルールーの住んでいる街で一番のお金持ちの家のお嬢さんが、結婚式で使うための純白のベールです。
 その結婚式を三日後後に控えて、ルールーはベールを完成させようと夜もほとんど眠らないで頑張っていました。

 なにせこの仕事は、ルールーにとってとても大切な仕事だったからです。

 ルールーはもう何日もパンを食べていません。新鮮なミルクも飲んでいません。とてもとてもおなかがすいていました。
 けれどこのベールが完成さえすれば。

 ルールーは自分の仕事を誇りに思っていましたが、世間はルールーほどこの仕事を大切に思ってはくれませんでした。
 男のくせにお針子なんて。誰もが鼻で笑います。
 確かに生活は厳しく、パンを買うお金にも、ミルクを買うお金にも不自由することがありました。

 けれどルールーは、純白のサテンに小さな銀色の針を通しながら思うのです。

 もしも結婚式でお嬢さんが輝いて見えたなら、そのベールを縫った僕にもその輝きを手助けした栄誉が与えられる。与えられてもいいはずだ。
 ルールーは純白のサテンに白い花の刺繍をしながら、その栄誉を与えられた時のことを想像してうっすら微笑みました。



 
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