+-++-++ セカンド ++-++-+
  
 
 
 今年もイルミネーションが街を飾っている。巨大なクリスマスツリー。サンタクロースの人形。花やリボンのついたリース。
 1年のうちで、もっとも華やかな街の様子。
 そんな街を歩きながら、俺は、あの日のことを思い出す。あの日、夏にはまだ早く、春にはもう遅い、熱気と湿気の溢れた季節―――
 恋の終わった6月を。


 6月の雲は、無鉄砲なほどの大胆さで地上に近付く。大農園に農薬を散布するヘリコプターのように、細かな白く煙ったような雨を降らして。
 俺は雨が嫌いではないけれど、妙な息苦しさを覚えて深い呼吸を繰り返す。自分の世界が縮んだような気がする。ただでさえ窮屈で、思い通りにならない世界が。
「――どうかした?」
 首に腕を回されて、何でもないと答えた。俺を見上げる、挑発的な瞳に向かって。
 何てことはない公立高校の、ここは屋上へと続く階段。壁に寄りかかっている俺に、彼女は唇を合わせてきた。
 条件反射のように腰を抱いて、自分に引き寄せる。梅雨寒の冷えた身体には、彼女の体温は心地よかった。差し込んだ舌から伝わる、彼女の熱い口腔も。
 もっと欲しい。
 俺の身体を溶かすくらい、ピッタリとくっつき合って、それで心まで溶けてしまえばいい。
 だけど彼女の手がスッと首から離れて、俺の肩を押した。終わりという合図だ。俺は唇を離すと、彼女の長い髪と首の間に鼻先を押し付けて、甘い香りを嗅いだ。
 たまらない。
 こんな小さな細い身体で、男を受け入れる女が。
「お昼まだなんでしょ。時間なくなるわよ」
「ん」
 腰を抱いていた腕を解くと、すぐに彼女は俺から離れた。あまりにも潔い身の引き方に、俺は再び手を伸ばす。
「頼子さん、今日の放課後は?」
 手首を握った。腕時計の上から、時間を消し去るように。
 彼女は笑う。さっきまで合わせていた唇で、残酷な言葉を告げながら。
「駄目よ。本命との約束があるの」
 その一言で、俺の手から力が抜ける。トンと腿にぶつかる手の向こう、彼女は長い髪をかきあげながら階段を下りていった。
 俺は天井を見上げ、それから深呼吸をした。肺の中いっぱいに空気を溜め込んで、鬱屈した気分と一緒に吐き出す。
 またすぐに、大きく吸った。彼女の甘い匂いまで、吐き出してしまったような気がしたからだ。
 今度は小さく息を吐いて、そしてようやく、学食に向かう気になった。
 彼女にとって、俺はセカンド彼氏だった。本命が忙しい時や、彼女の気が向いた時に呼び出される、控えの彼氏だ。
 
 学食にやって来た俺に、級友たちが手を振る。雨のせいもあるのか、学食はやたら混雑していた。食事が済んだ生徒たちも残っている。
 席についてすぐ、級友が俺を小突いてきた。
「よう、成嶋。遅かったな」
 ニヤニヤ笑っているのは、俺に彼女がいることを知っているからだ。不思議なことに、校内では俺が、彼女の公認の彼氏だった。
「くぅ〜、羨ましい。あの桂木頼子せんぱいが、どうしてお前なんか選ぶかな」
 と、別の級友が俺の髪をワシワシ乱す。
 その手を払いのけながら、俺は学食を見回した。学年ごとに区分けされたブロックの、3年の席に座るあいつを見つけた。
 西園寺昭輝―――
「さぁな。俺が聞きてぇよ」
 そう言いながら、西園寺を睨む。俺の座る2年のブロックから、やけに遠く感じるけれど、距離にすれば5メートルもない。
『駄目よ。本命との約束があるの』
 彼女の言葉を思い出す。
 本命という部分に、重い響きが感じられた。
 俺の視線に気付いたのか、西園寺がこちらを向く。理知的な目が、冷たい光を宿していた。
「おい、ガン飛ばすなよ」
 級友の焦った声。相手が3年だからではない。
 西園寺だからだ。
 俺の代わりに、級友たちが引きつった笑みを返す。西園寺は薄く笑みを浮かべて、同じ席に座る3年との会話に戻った。
「見たか、今の?」
「ばっちし」
「同じ男として生まれるなら、あんな顔に生まれたかったぁ」
 興奮と羨望のない交ぜになったことを言いながら、級友たちは『もしも』の話で盛り上がっている。
 もしも自分が西園寺だったら、と。
「片っ端から女と付き合う」
「甘い、甘い。かる〜く街を流して、いい女と即ホテルだよ」
「ホストになって一儲けとか」
 そんな他愛もないことを言い合って、級友たちは「充実した下半身ライフだろうなぁ」とため息のように口を揃えた。
「バカか、お前ら」
 俺は吐き捨てるようにそう言う。
「そりゃお前は彼女がいるから余裕だろうけどよ」
「そうそう、彼女のいない男の夢だって」
 級友たちは口々に俺を非難するけど、その目は力なく笑っている。どこかでさもしいと思うのだろう。
 嫉妬なのだ。あの顔があるから、西園寺でいられると、そう思いたいのだ。教師からも信頼されて、成績も優秀で、人から羨ましいと思われるような、そんな男に―――何一つ、敵うものがないせいで……。
 ただ生まれもって与えられた顔だけを、挙げてみる。そして悪いイメージを結びつけて、自分たちと同じところか、あるいはもっと下に引きずり落とそうとしている。
 俺の嫉妬とは、また異質なものだ。
 けれど、それだけ西園寺という男が、上にいるのだと認識させられる。西園寺昭輝。彼女の本命。誰もが羨む完璧な男。
 俺はそういう男に、勝負を挑んでいる。
 
 
 半年前のこと。
 俺は勇気を出して彼女に告白した。
 もうすぐ期末テストが始まるという頃で、それとは関係なく、クリスマスというイベントに触発されたようなものだった。
 あれは心底ずるいと感じる。街のイルミネーションやロマンチックな音楽で、厭味なほど人の心を揺さぶってくる。まだガキだった頃、夢中になった遊園地のようなおとぎの国を街中に出現させて、あの頃の自分を思い出させる。そして疑問を誘う。
 いつから夢を見なくなっただろう、と。
 そういうブルー配合の強いセンチな気分は、片思い中の男としては大打撃だった。並んで歩いているというだけで、すべての男女が恋人同士に見える。急ぎ足の道行く人とすれ違えば、これから恋人に会うんだなんて嫉妬した。
 俺は1人なのに……。
 何と言っても冬だ。寒くて、背中も丸まる。自然と首が傾き、ポケットに手を突っ込み、目線は自分の足元へ。そして華やかさとは縁がないような、惨めな男が出来上がる。
 俺が面白いなと思ったのは、あの頃の自分を否定せずに、今現在の自分を責め始めたことだ。
 このままではいかんと奮起した。ズルズルと気持ちを引きずるよりも、キッパリと片を付けよう。振られたなら振られたで、冬休み中に立ち直る時間もある。
 それで告白したのだ。
 彼女は笑っていた。やっぱりきれいだなと、ぼんやりしている俺に、少し考えさせてと答えた。
 これは脈ありかと思った数日後のこと。彼女から呼び出されて、俺は期待で胸が躍るような、不安で詰まるような、緊張感をたっぷり背負って彼女の前に立った。
「あなたのこと、好きかもしれないわ」
 その一言で、俺は有頂天になった。けれど次の瞬間には突き落とされることに―――
「でも私、他に付き合っている人がいるの」
 終わったと思った。
 俺の冬休みは、雪が降ろうと暗黒色で、コタツに顔まで埋めようと胸には寒風吹きすさぶ。そんな2週間になるだろうと思った。
 俺はガックリと肩を落とした。そんな俺を、彼女が見上げる。
「それで、彼とも相談したんだけど、セカンドってことでどうかしら?」
 ニコリと微笑まれて、俺はあんぐりと口を開けて突っ立っていた。その様子に、俺が話を理解していないと察したのだろう、彼女が続けた。
「コソコソするのは好きじゃないの。自分が信頼している人間に対しては、ね。だから全部話して、それで私の気持ちを優先してもいいって。三角関係になるわよって言っても、別にいいんじゃないって。もちろん私も彼を優先したいから、あなたにはセカンドとして傍にいて欲しいの」
 ムチャクチャなことを言われていると、頭の片隅では充分承知していた。それなのに、俺は生来の負けず嫌いを刺激されて、気付けば手を出していた。
「頑張る…よ」
 なんて言いながら。
 彼女は俺の手を握り、よろしくねと笑った。そのとき俺は、この笑顔を間近で見られるだけでもありがたいなんて思っていた。つないだ手の温もりもまた、格別なものに感じられた。
「本当に分かっているの?」
 そう彼女に念を押されて、俺は何度も頷いた。
 実際、俺はよく分かっていなかったのだ。セカンドというものが。その立場、扱いについて、何一つ。
 おぼろげに、セミプロだとか、2軍という言葉が浮かんだ。それは間違いではない。ただ俺には、予測し得なかったことが1つだけあるのだ。
 そう。どうせ奪ってしまえばこっちのもんだと、そればかり頭にあって、彼女の本命がどんな男なのか、まったく考えもしなかった。
 忘れもしない、あれから4日後の日曜日。
 彼女が突然約束をキャンセルしてきた。テスト前だったので、図書館に行こうという、今どき中学生でもしないような約束だったけれど……。
 まぁ同じ学年ではないし、一緒に勉強してもあまり意味はない。俺は教えてもらって得するけど、彼女は足を引っ張られるようなものだ。
 仕方ないと諦めて、俺は部屋でゴロゴロしていた。勉強もしなきゃなぁと思いながら、ゲームしたりビデオを観たりと、のんべんだらりと過ごしていた。
 夕方になって、さすがに勉強しなきゃマズイだろうと机に向かう。シャープペンシルのお尻をカチリ、芯を出そうとした。次にスカッという感覚。振ってみても、音がしない。
 芯がなかった。
 机の引き出しをあさって替え芯を探すのだが、どこにもない。家中の引き出しを開けて、やっと見つけたケースもカラッポで……。
 ムッとした。せっかく人がやる気になったのに、水をさされたような気分だった。こうなったら俺は止まらない。へそを曲げるより、意地になる。
 コートを羽織って、自転車をこいだ。文房具屋まで一直線だ。近くのコンビニにも置いてあるのだが、種類が少ない。ここまできたら納得のいくブツを仕入れてやると、妙な意欲に燃えていた。
 もうすぐ到着というとき、俺は反射的に自転車のブレーキをかけた。
 休みの日に、あまり親しくない級友に出会ったら、声をかけようかどうしようか迷う。学校から出てしまえば、級友という意識は薄れて、あまり親しくないということだけが鮮明になるのだ。
 そういう気持ちに近かったけれど、相手は級友じゃなかった。
 まずいことに、上級生だ。学校の中でまかり通る上下関係が、そこを離れてからも守るべきものかどうか判断に苦しむ。挨拶しなければ生意気だと言われ、挨拶しても向こうがこっちの顔を覚えているかどうか分からない。
 何せこっちは群集の中にいる一生徒で、向こうは何度も壇上に立つことのある2年の学年主席だ。西園寺昭輝といえば、学校で知らないやつはいない。
 しばらくして、肩の力を抜いた。制服じゃないのだから、俺に気付くわけないと思った。仮に向こうに気付かれても、そこで初めてこっちも気付いたふりをすればいい。
 そんなことを考えながら、俺は同じ文房具屋に入った。
 替え芯のコーナーに立ち、ジッと見る。どれにしようかと悩んでいると見せかけて、向こう側にいる西園寺を。
 何を買うのだろうという、単純な興味だった。
 西園寺が手にしているのは、クリスマスカード。たくさんあるカードを1枚1枚眺めて、吟味しているようだった。
 テスト前だっていうのに、余裕だよなと思った。
 きっと真面目に予習復習しているから、テスト前になって慌てるなんてことはないのだろう。一夜漬けの眠い目をこすりながら、それでもテストを受けて、机に突っ伏したまま眠り込んだこともないだろう。さらに教師に肩を叩かれて、うるせぇなと叫んで一発退場をくらったことだってあろうはずがない。
 違うんだ、あの時の俺はただ単に寝ぼけていただけなんだ――と、関係ないことまで考えが飛躍したせいだ。
 ふと気付けば、西園寺が俺の隣に立っていた。
「きみ、成嶋だろ?」
 なぜ俺の名を――とビックリした反面、意外と親しみやすい人なのかと思った。休日に街で会った下級生に声をかけるなんて、俺だったら絶対にしない。
 とは言え、不意のことに俺は慌てた。挨拶をしなければと思いながらも、口が痺れたように開かない。そんな俺を尻目に、西園寺はさっさと次に進む。
「きみはどっちがいいと思う?」
 なんて、2枚のカードを俺に見せる。1枚は外国の、きっとヨーロッパのどこかだろう、森林を上から撮影した雪景色で、もう1枚は湖畔に浮かぶ月を描いた水彩画のようなものだった。
 こっちがいいと即答できないような、微妙なものがあった。
「……どっちも、見てるだけで寒そうっすね」
 俺は正直な感想を告げた。
 すると、西園寺は笑いながら俺の手を引いたのだ。
「きみがいいと思うものを選んでくれよ。参考にする」
 あの時ほど、俺の自尊心がくすぐられたことはない。参考にするという言葉が、俺を絶頂に導いた。誰もが知っている相手に対して、群集の中にいる自分が意見を言えるなんて、考えただけでも顔がほころぶ。
 カードの置かれた棚の前で、あれでもないこれでもないと、15分くらい頭を悩ました頃だろう。俺は1枚のカードを手にしていた。
 オルゴール付きで、ステンシルで描かれたツリーを、キラキラ光る金色の砂みたいなものが縁取っている。平べったい色とりどりのビーズがたくさん付いていて、まさに幸せなクリスマスという感じだった。
 こういうのを彼女にあげたら、喜ぶかなと夢想する。だけど、すぐに西園寺が「これ?」と俺の手からカードを取り上げた。
「あ……」
 俺は思わず不服そうな顔をしたけれど、西園寺はお構いなしに笑う。
「うん、確かにきみらしいね」
 満足そうな笑みだった。西園寺はカードをレジに持って行き、支払いをしている。もう1枚は、さっき見せられた雪景色のやつだ。
 それを見て、俺は初めて変だなと思ったのだ。
 参考にすると言っていたのに、西園寺は俺が選んだカードをそのまま送るようだ。俺らしいカードでいいなんて、送られる側にしてみれば複雑なものがあるだろう。
 支払いを済ませた西園寺に、俺は近付いた。
「これ、誰に送るつもりっすか?」
 西園寺はニッと笑う。今までの笑みとは違う、意地悪そうな笑顔だった。
「頼子と、きみに」
 その瞬間、殴られた以上の衝撃を感じた。俺は目を見開き、しばらく息をするのも忘れていた。
「きみが選んだカードは、ちゃんと頼子に送るよ」
 西園寺は俺の肩をポンと叩いて、さっさと文房具屋を出て行った。軽く叩かれただけだというのに、その重さは半端じゃなく俺を脱力させた。
 もう替え芯なんて頭から吹き飛んで、俺は店内だというのに携帯電話を耳に当てていた。しばらく呼び出し音が続いて、ようやく彼女の声が応答した。
 俺は前置きもなしに言葉を放った。
「もしかして、頼子さんの彼氏って……」
 俺は口ごもったけれど、彼女は悪びれることなく続けた。
「あなたと、西園寺くんよ」
「なんで最初に言ってくれないんだよ!」
 と、俺が怒りもあらわに言ったのに、彼女はあっさり「聞かなかったから」と答えた。
「もう俺、史上最低の間抜けを演じた……」
 さすがにゴホンという咳払いが聞こえて、俺はヨロヨロと店を出た。
 気付けば、携帯電話を切っている。
「………」
 かけ直す気分じゃなかった。俺は自転車をこいで、とにかく家を目指した。帰ってすぐに部屋へ駆け込むと、床の上に座り込んだ。
 ふと、西園寺が持っていたカードを思い出す。
 たくさんの木が並ぶカードと、たった1つの月が描かれたカード。あれは、俺に対する宣戦布告だったのだ。
 お前なんて、たまたまツリーにするために切られた1本の木に過ぎないと。西園寺はそんなメッセージを込めて、俺に見せたのだ。
 対する俺は、何も分かっていない。ただ見たままの感想を述べて。それで西園寺はもっと分かりやすいように、俺にカードを選ばせた。
「あの野郎……」
 悔しいやら、泣きたいやらで、俺は片手で床を叩き、もう一方で目を押さえた。
 そんな状態の俺が、テストに集中できるわけもなかった。ガクンと成績が落ちて、2つの赤点を取った。
 冬休みまでの放課後を、補習と追試で無駄に過ごすことになった。そんな俺に、西園寺からクリスマスカードが届く。
 破り捨ててやろうかと思ったけれど、何か書かれていて気になった。
『きみはなかなか面白い人間だ。頼子の目に狂いがないことを改めて実感したよ』
 厭味を通り越して、嫌がらせにしか思えなかった。
 同時に、何であんたが本命なんだよと、やり切れない気持ちでいっぱいだった。
 
 
 見惚れると言えば、誤解を招くかもしれない。だけどあの時の俺の状態を思い出すと、それ以外ピッタリ合う言葉はなかった。
 生徒相談員という、ちょっと変わった立場の人だと思った。入学式のあと、新入生が集まって説明を受けているとき。
 唯一の2年生で、1人だけ腕章をしていた。相談員と書かれた腕章をつけた姿は、どこかエリート研究員のようだった。
 研究施設なら、ふつう白衣だろうと思う。だけど、俺たち新入生を眺める目が、まるで実験動物を観察しているように見えたのだ。
 紹介を受けて、軽く頭を下げる。その顔と名前を、俺は頭に刻み込んだ。西園寺昭輝、古めかしい名前だと思いながら。
 俺が興味を持ったのは、西園寺の作り物のような表情だった。解散になって、生徒会の連中と和やかに話をしている時も、決してばか笑いをしない。周囲の連中は、ゲラゲラと大口を開けて笑っているというのに。
 何だか大人に見えた。コーヒーにミルクは入れても、砂糖は入れないというような、スタイルが決まっているというか、甘さを感じなかった。
 こういう奴もいるのかと、軽い驚きがあったのも確かだ。
 俺がまだ鼻をたらしていた頃に、漠然と思い描いていた理想の自分。そんなものになれっこないと気付いたのは、幼稚園で粗相をしてからだ。
 理想の俺になるためには、それは絶対やってはならない失敗の1つで、粗相、つまり、もらすイコール汚いという図式があった。
 あの頃の俺は、自分以外の人間も小便をするという実感がなかった。だから俺だけが汚くて、猥雑な人間だと思っていた。
 それからすぐ小学校に入学して、隣の席にいたやつがもらした時には、何でだよと叫びそうだった。
 俺だけじゃなかったと安堵する一方で、やはり俺の理想は絵空事だと感じた。
 誰が見ても清潔で、小便なんてしそうもないような、眠り姫を自らのキスで起こすことのできる王子様なんて、この世にいるわけもない。
 だけどそんな俺の理想を、具現化したような男が西園寺だった。
 俺は大きな嫉妬と、小さな羨望を持った。
 大きな嫉妬は『絶対に化けの皮を剥いでやる』と言い、小さな羨望は『どうしてあんなにも俺と違うのだろう』と言った。
 その2つの気持ちが、俺の目に西園寺の姿を追わせた。廊下ですれ違えば挨拶をしながら盗み見て、生徒会の連中と壇上に立っている時は、ボケーッと口を開けて。
 何てことはない、俺はただ西園寺に見惚れていただけなのだ。
 ハナタレだった俺が、童話に出てくる王子様をかっこいいと思っていたように。あの頃よりも知恵がついて、そんなわけないと疑う目が、より強い嫉妬と羨望を与えるのだ。
 それはあの時、あの文房具屋でのことがあるまで、俺はただ王子様に見惚れるだけのガキでしかなかったということだ。
 
 
 午後になって、雨は本降りになった。
 帰りのホームルームが終わって、さっさと帰ろうとした俺に、同じ陸上部の級友が近付いてきた。
「体育館で筋トレだってさ」
 そして、地獄のいびりが待ってるぜ、と続く。ここ最近、俺は部に顔を出していない。
「うっ、腹が……」
 と言って荷物を持って走ろうとした俺を、級友がガッチリ押さえてくる。
「逃がすもんか。部長から、今日こそは絶対に連れて来いって言われてんだよ」
 羽交い絞めにされながらも、俺はズルズルと級友を引きずって歩いた。口からは、何だかわけの分からない言い訳が飛び出す。
「わりぃな、親父のお袋のじいちゃんの玄孫らしきやつが危篤で」
 頭の中に関係図を浮かべたのだろう。級友はしばらくしてからポツリと言う。
「……それ、お前のことだろ」
「そう、俺が危篤なんだよ。筋トレなんかやってる場合じゃない」
「ふざけんな。危篤のやつが、のこのこ学校に来るかよ」
 ジョークには乗ってくれるが、逃がす気はないようだ。廊下に出ても背後霊のようにくっ付いている。
「わぁーかったよ、出ればいいんだろ」
 俺が渋々そう言うと、級友は俺の腕を掴んで体育館へと歩き出す。離したら、俺が逃げると分かっているようだ。
 その手に力を込めながら、級友が口を開いた。
「お前の気持ちだって分かるぜ。陸上部なんか、ほとんど頼子さんの親衛隊みたいなもんだし、1年からいきなり校内記録を塗り替えたお前は、睨まれまくってる」
 そうだ。
 俺が唯一、人に誇れるもの。俺は全国でも指折りの、ハイジャンプの選手なのだ。
「分かってるなら見逃してくれよ」
 なるべく哀れっぽく聞こえるように、俺は声を低くした。
 それでも級友は、俺の手を離してはくれなかった。
「でも、お前には頼子さんがいる。お前を連れて来なかったオレには、先輩からの厳しいお叱りしか残らない」
 うっと言葉に詰まった。何度も逃げてきたけれど、そのたびに俺の代わりに小言を聞かされる身を考えもしなかった。
「その……悪かったな」
 俺の謝罪の言葉を、級友は肩をすくめて流した。
 逃げたいと、今も思う。けれど、逃げる気は失せた。俺を責めずに状況だけを告げる級友を思うと。
「部長、怒ってるかな?」
 俺が尋ねると、級友は「安心しろ」と笑った。
「怒っていようとなかろうと、地獄の筋トレに変わりないぜ。それに今日は生徒会も見に来るらしい。雨の日における体育館の使用状況とかって、そんなこと言ってたっけ」
 それを聞いて、俺は無性に帰りたくなった。言い訳じゃなく、本当に腹も痛くなる。
「……俺、マジで危篤になりそう」
 そう呟いたのは、体育館の前で腕組みをして立っている部長の姿を見たせいじゃない。
 西園寺が見に来るのだと、意識したせいだ。
 
「おらぁ、成嶋! 休むな!」
 体育館に響き渡る、怒号の声。断トツで多いのは、俺の名前で。今も俺は、体育館の壁から壁へのダッシュを続けている。他の連中が次のセットまで休憩している中を。
 くそったれと思う。こんなことで俺を潰せるものかと。中学の時だって、やっかむ連中は腐るほどいた。そんな中で俺はのし上がってきたのだ。欲求不満のはき溜めに、実力だけを叩きつけてやった。
 絶対に負けるものかと、歯を食いしばる。
 それでも久しぶりのハードな運動に、太腿の裏側にピキンと痛みが走る。足がつりそうだ。
 俺がスピードを緩めた途端に「だらしないぞ!」と檄が飛ぶ。俺だってそう思う。自分の身体なのに、思い通りに動いた例はないのだから。
 そのとき、体育館の入り口から制服の一団が入ってきた。それを目の端で捕らえると、俺は再びスピードを上げた。
 西園寺の顔があった。あの冷ややかな目で俺を見ている。それから、1人だけ生徒会の連中から離れて、部長と何やら話し始めた。
 俺は走りながら、こんちくしょうと胸の中で叫んでいた。どうせこの後彼女と会って、それでもって、あの柔らかい唇を心行くまで味わうつもりだろうと。
 悔しいという思いが、俺の背中を押す。何度も同じところを行ったり来たりしながら、西園寺の顔も、近付いたり遠退いたりする。それでもずっと、あの目が俺に向けられていると分かる。部長と並んで腕組みをした格好で、俺の動きを見ている。
 こまねずみのように動き回る俺を。
 さっさとどこかに消え失せろという思いと、そのどこかが彼女のところだと思うと悔しくて、俺は辻褄の合わない思いを胸に走っていた。
 息が切れて、太腿が引きつる。床を蹴る感覚もなくなって、つま先だけが意志を持っているかのように交互に出されているような状態だ。
「………っ?」
 急に身体が軽くなったと思ったら、次の瞬間には顔面で床を舐めていた。すぐに起き上がろうとしたのだが、思った以上に疲労が足に出た。膝を立てた瞬間に、再び床が目の前だ。
 咄嗟に思った。
 恥ずかしい――と。
 首の後ろから、ボウッと炎が上がるように。その気持ちは俺を焼き尽くす勢いで包み込む。
 立ち上がらない俺に、部長と西園寺が近付いてくる。俺は心の中で『来るな!』と叫ぶのだが、息が切れてそれを口にすることもできなかった。
「あまり無理をさせないでくれ。部活動中の事故が、ここ最近増えているからね」
 高くもなく、低くもない、けれど伸びやかな西園寺の声がした。部長は返す言葉もないようで、俺に向かって「立てるか?」と聞いてきた。
 俺が答えるよりも早く、西園寺がスッと手を伸ばしてきた。
「保健室まで連れて行こう」
 冗談じゃない。この上さらに俺を惨めにするつもりか。俺はカッとして西園寺の手を払った。
「平気っす」
 そっぽを向いて、何とか立ち上がる。
「水……飲んできていーっすか?」
 と、部長に尋ねる。西園寺の前だったせいか、部長は「行ってこい」と俺の腰を叩いた。勢いに押されてふらついたが、とにかく俺は体育館を後にした。
 水のみ場の、かび臭い水をたらふく飲んで、俺はズルズルとその場にしゃがみ込んだ。
「かっこわり〜」
 俺にとって唯一の、人に誇れることさえも、記録に挑戦している時くらいしか脚光を浴びないものだ。バーを飛び越えるその一瞬だけが俺の誇れる勇姿であって、それ以外の俺ときたら凡人と変わらない。
 だから西園寺は、俺がセカンド彼氏になっても、あんな風に余裕をかましていられるのだと思う。本命になれっこないと分かっているから容認できるのだ。
 髪の生え際を汗が流れる。着ているTシャツで拭いた。そのまま、顔を押さえるようにして腕が止まる。
 汗の臭いが、日陰の倉庫みたいなイメージを作り出す。
 西園寺からは、彼女と同じような甘い匂いがした。
 もしかして、密かにおそろいの香水かと思う。俺は汗にまみれ、ゼイゼイ言いながら走り回っているというのに。
「………」
 俺だって、無謀な勝負だと思う。勝ち目なんかあるわけないと、冷静に考えることだってある。
 それでも、こればっかりは理屈じゃない。
 彼女のチョコレートみたいな瞳に俺が映って、綿菓子でできているような腕が絡みついてきて、細くて柔らかい身体が密着してくる。それが最高の瞬間だと思う。
 俺はただ、彼女が欲しいだけなのだ。お菓子が欲しくて泣いて駄々をこねるガキのように。あんな手強いオマケ付きであっても。
 半分こしましょうと言われて、喜ぶガキはいない。ちぇっと口を尖らせて、不満に顔をしかめる。誰だって自分だけのお菓子を味わいたい。全部自分のものにして、至福の時を過ごしたい。
 俺がそれを望むのだって、自然なことだろう。
 今はつまみ食いでも、いつか絶対にと思うものだろう。
 それとも、我慢しなければいけないのか。誕生日ケーキを切り刻まれた時みたいに。自分が主役のはずなのにって、恨めしそうにナイフを睨んで、それでも仲良く食べましょうねと言う声に、渋々ながら頷く。
 それが現実なのは、よく分かっているけれど……。
「お〜、もう平気か?」
 体育館に戻ると、西園寺の姿はなく、部長があっけらかんとした調子で声をかけてきた。
「平気っすよ」
 俺はヒョイと片手を上げてみせる。まるで自分の腕じゃないように、だるいなと思いながらも。
 他の連中は、もう次のセットに移っていた。何のまじないかと思うような、角まで全力で走り、次の角まではゆっくり流し、今度は後ろ向きで走り、最後は腕をブラブラさせながら元の位置に戻る。それを繰り返している。
 そこに合流しようとしたら、部長が俺に手招きした。小言を聞かされるのはウンザリだけど、無視すれば余計に後が辛いと思い、俺は部長に近付いた。
「明日からは、ちゃんと出てこいよ」
「………」
 はいと言えば、ここは切り抜けられる。たとえ俺に出る気がなくても。だけどそれは、何だか負けのような気がするのだ。いびられて、それに屈したような。
 俺が無言だったせいか、部長はため息をついた。
「お前な、何のためにオレが、お前にだけ厳しく筋トレさせたと思ってんだよ」
 部長の苦々しい顔。俺が1年の時は、よく笑う人だったのに。始終下らないジョークを飛ばしては、部員たちを笑わせる。そんなポジションが1番似合う人だった。
 俺はギュッと拳を握る。
「……腹いせっすか?」
 小声で呟いた。
 俺だって、部長の気持ちが分からないわけじゃない。ただのいびりとは違うって、最初から分かっている。体育館を半分に仕切って、全部員の目が届くところで俺を攻撃する意味が、そこにあるのもちゃんと分かっている。
 でも、やられっぱなしは癪に障るのだ。
「俺のこと、やっかんでるんっしょ? 俺が有望な選手で、みんなの憧れを奪ったから。俺だけがいい思いして、悔しいって素直に認めたらどうっすか?」
 俺の声は体育館に響き渡った。まるで喧嘩を売っているような勢いになった。
 悔しいのは俺の方だ。俺の言葉はすべて、自分に撥ね返ってくる。部長を睨んでいるのに、俺の頭に浮かぶのは西園寺の顔で、悔しくて悔しくて、それを認めたくないのは、あいつがすごく妬ましかったからだ。
 俺は肩を震わせて、ガキみたいに泣くのを我慢していた。
「………もういい」
 部長は俺の肩を叩いて「今日はもう上がれ」と続けた。残念そうで、傷付いた顔をしている。
「お疲れっした!」
 声を張り上げて、俺は走って体育館を飛び出した。
 バカじゃないのかと、自分を罵る声が聞こえる。部長たちと顔を合わせたくなくて、考えなしに逃げ回って、級友にも迷惑をかけて、ギスギスした雰囲気をこれで終わりにしようと、部長が作ってくれたチャンスを潰した。
「くそったれ!」
 俺は自分を罵った。バカで、ガキくさくて、惨めな男だと。俺の頭の中で、それはいつしか西園寺の声になっていた。
 
 
 時計の針が、明日だったはずの日を、今日という日に塗り替えた。いつもは眠っている間の出来事なのに、俺は寝付けずにいた。身体は限界に近いほど疲れきっているのに、頭はその疲れを完全に無視している。
 ベッドに寝転がって、すぐ横に迫る壁を見詰めた。腕を伸ばすこともなく、肘を曲げた状態でも、手のひらを壁にくっ付けられる。
 あれはまだ俺が小さかった頃、テレビで放映された外国の映画を見て親に聞いた。
「どうしてベッドが部屋の真ん中にあるの?」
 俺は、子ども部屋を用意できる程度の家庭に育ち、けれど裕福とは言えないような、いわば中流階級のガキだった。
 部屋にはベッドもあったけれど、壁に寄せて置かれていた。
「向こうは家が大きいし、部屋も広いからだよ。狭い場所にあんな大きなものを、それも真ん中に置いたら、邪魔でしょうがないだろう」
 父親が笑って答えた。
 ある意味で、それは真理だと思う。俺がよく覚えているのも、どこかに疑問を抱いたからだ。
 広ければ、邪魔だと思わないのだろうか。同じものなのに。
 狭いスペースしか与えられないから、邪魔だと思うのだろうか。
「……くそ」
 壁を思い切り殴った。
 きっと俺は隅っこに寄せられたベッドで、西園寺は部屋の真ん中に置かれたベッドだ。どっちのベッドで眠るのか、それを決めるのは彼女。
 苦しくて、腹の中に詰まった臓器が、全部へその辺りにギュウッと集まったように感じる。
 こんな思いをするのなら、いっそやめてしまえばいいじゃないかと、冷静な自分の声が聞こえてくる。最初から勝てっこないのだからと。
 自分でケリをつけるのは簡単だ。もうやーめたって、身を引けばいい。強制されているわけでもなければ、縛り付けるものは何もない。
 だからこそ、と思うのだ。
 俺が今ここで身を引いて、それで何もかもが終わってしまう。彼女が俺に笑いかけることもなくなり、俺には悔しさだけが残る。セカンド彼氏という細く頼りない糸が、プツンと切れて、俺はお菓子をすべて取り上げられるのだ。
 そんなの嫌に決まっている。
「ちくしょ〜。邪魔なんだよ、西園寺のやつ」
 寝転がったまま腕を振り回して、頭の中から西園寺を追い出す。彼女のことを思えば、当然セットのように西園寺が浮かんでくる。それがムカツクというものだ。
 それなのに、俺は彼女をひどい女だとは思わない。それどころか惚れ惚れしてしまうのだ。男2人を手玉に取って、それでいて厚かましいところはまるでない。
 好きだと思う。単純明快な気持ちだ。行き過ぎた欲望に後ろめたさを感じることはあっても、男なら誰だってそうだろうと開き直る。女を求めることが悪いなら、男なんてみんな極悪人だ。
「………」
 自分で考えたことなのに、俺はひどく苦い記憶を呼び起こして顔をしかめた。
 シーツにできた斑点。もう2年も前のことなのに、今も忘れることができない。
 中学3年の秋に、俺は当時付き合っていた女とベッドの中にいた。初めて肩を抱いたとき、そのあまりの細さに、俺は怖くなった。
 折れそうだとか、そういう表現では追いつかない。それなりの媒体で、信じられない格好をしている女の姿だって目にしていた。けれどそれはどこまでも映像であって、実際に女の身体に触れたあの衝撃は、俺を凍りつかせた。
 こんな細い身体に、俺のゴツゴツした身体を重ねるのか。壊れてしまうんじゃないのかと陳腐なことを考え、どうして身を任せられるのだと、ゾッとしたのだ。
 加減なんてできない。俺にとってもそれが初めてのことだったし、どの程度まで許されるものなのかも分からなかった。
 だってそれは、俺の身体じゃないのだから。
 何度も『大丈夫?』と聞いた。ちょっとでも顔をしかめたら、すぐに手を止めた。ムードだとか、流れだとか、そんなことは頭から消え去って。
 俺はただ、早く終わって欲しかった。指の先まで神経を尖らせて、慎重に手を動かして、どうか痛いとか思わないでくれと、ただそれだけを祈って。
 その内に、女が泣き出した。肩を震わせて、シーツに涙の斑点ができる。
 ごめんと謝った。そしたら余計に泣かれた。わけが分からなくて固まっている俺に、女が言った。
『そんな嫌そうにしないでよ』
 たまらなかった。………悲しくて。
 すごく好きだった。本当に大切にしたいと、どんなことからも守ってやるんだと、ずっと思っていた。
 その思いが、逆に重圧となった。身を任されて、俺にはそれを受け止めるだけの度量がなかった。責任とか義務のような気持ちが勝手に先行して、気が引けた。俺が傷付けてしまうんじゃないのかと。
 それを正直に伝えられず、俺は嘘をついた。
『好きだから……緊張してるんだ』
 好きだった、怖かった、そしてすごく悲しかった。
 俺は意識してしまったのだ。これは自分の身体じゃないと。痛みも良さも、俺とは共有しないのだと。
 たったそれだけのことで、俺は前のように好きだと思えなくなったのだ。
 振り返れば、それはバカみたいに不器用なだけだったと思う。自分の中にある燃え立つような感情と、それを抑えようとする冷え冷えとした感情の狭間で、俺はバランスを失ったのだ。
「……はぁ」
 ため息を包み込むように、俺はシーツをギュウッと手繰り寄せた。
 だけどそれが、俺の中に棘として残っているのは事実だ。今でも彼女を抱き寄せると、チクンと胸が痛む。たまらなくて泣きたくなる。
 どうしてあなたは、俺じゃないのさ。
 そう尋ねたくなって、ピッタリ身体をくっ付けて、腕の中にいる彼女を感じることはできても、決して1つにはならないのだと、どこかで失望している自分がいる。
 俺は俺という人間でいるよりも、好きになった相手になりたい。痛みも良さも共有できる、同じ身体でいたい。
「……バカだよな」
 自分の考えに笑えてきた。
「それじゃあ女の身体になっちまう」
 それはそれで楽しいかと思うけれど。どんな風に彼女が感じるのか、それを知りたいと思うのは、やっぱり叶わないからこそ願うのだ。
 
NEXT?  

 

前半です。長くてすみません。
後半も楽しんでいただけると幸いです。
 

 

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